はじめに
近頃、マルハラという言葉が流行っているようです。 マルハラとは、SNSなどの文章コミュニケーションにおいて、 文末に「。」をつけると「冷たい」「怖い」「威圧的」といったネガティブな印象になる とされるものです。
主に、中高年世代から若年世代へのコミュニケーションで問題となることが多いようですが、 「。」をつけること自体は日本語では普通のことでもあり、 つけるべきかつけないべきか、いろいろ議論を呼んでいるようです。
これらの諸問題を、「マルハラ問題」として、 今回はこれについて、対処法も含めて考察していきます。
マルハラ問題に関する考察
マルハラ問題の本質はフォーマルとカジュアルのミスマッチ
マルハラ問題はなぜ起こるのか? それは一言で言えば、フォーマルとカジュアルのミスマッチで起こるんだと思います。
フォーマルとは、ビジネスなどの「きちんとした」場や言葉遣い。 文章コミュニケーションで言えば、例えばメールはフォーマル寄りの場となります。 言葉遣いもフォーマルなものが求められます。
カジュアルとは、友達や知り合いなどの「くだけた」場や言葉遣い。 文章コミュニケーションで言えば、例えばSNSはカジュアル寄りの場となります。 言葉遣いもカジュアルなものが好まれます。
どちらがいいとか悪いとかではなく、 それぞれに適した物言いというものがあるわけなので、 それに合っているかどうか、ということです。
場合分けすると以下のようになります。
図解するとこんな感じ。
相手が認識している「場」とずれた文章を送ると、相手に違和感を抱かせてしまいます。 それがこの問題の本質かと思います。
これは、逆のシチュエーションで考えてみるとよくわかります。
フォーマルな場でカジュアルな言葉遣いが送られてきたらどう思うでしょうか? 例えば、ビジネスシーンでのメールで、 顔文字や、若者言葉、ネットスラングみたいなのが送られてきたら、 「は? コイツ大丈夫か? これだから最近の若者は…」ってなりますよね?笑
ひるがえって、若者にとって「。」を打つというのは、ビジネスシーンのメールなどで使うフォーマルなスタイルなんです。 だから、それをカジュアルの場でやられると、 「え? この人なんかイヤな感じだなぁ これだからおじさんは…」となるわけです。
ちなみに私は現在40代の中年世代ですが、「。」の多用は若干「堅い」かなとは感じます。 なので、カジュアル寄りのSNSのやりとりなどではあまり使いません。 このへんの感じ方は世代差だけでなく個人差もあるかもしれませんね。
マルハラは「ハラスメント」なのか?
カジュアルな場で「。」を使うのがいささかミスマッチ(と若者には取られがち)なのは分かったとして、 そもそもそれを「ハラスメント」と呼んでよいのか、という問題があります。
これは微妙なところですね。 「ハラスメント」は「嫌がらせ」という意味になるかと思いますが、 別に「。」を使う人は、嫌がらせのために「。」を使っているわけではないでしょう。 それを「ハラスメント」とするのはちょっといきすぎかなと思います。
ただ、 「セクハラ」とか「パワハラ」も、 やっている側が「嫌がらせ」を意図してやっているというより、 「結果的に相手が嫌がっている」というほうが近いかと思います。
「マルハラ」も、 使う側に嫌がらせの意図はないが、 「結果的に相手が嫌がっている」という形になるわけですね。
するとマルハラも、 構図としてはセクハラやパワハラと同様、、、ということになるので、 ハラスメントと呼べなくもない?、、、という感じでしょうか。
まぁ、利便性の観点でいうと、 「文章コミュニケーションにおいて文末に『。』をつけると、冷たい感じがして若者に敬遠されるという問題」を、「マルハラ」と一言で表現できる ので、ハラスメントかどうかは微妙ですが、便利といえば便利ではあります。
マルハラ問題への対処法
とりあえずマルハラ問題でこじれないために。
まずはフォーマルなのかカジュアルなのかを判断する
マルハラ問題を起こさないためには、 まずはその文章コミュニケーションの場が、 フォーマルなのかカジュアルなのかを適切に判断する必要があります。
- フォーマルな場の例
- ビジネスシーンでのメール、SNS
- 友達や知り合いなどの間柄でのメール
- 自分のブログ、SNSでの改まった投稿
- カジュアルな場の例
- 友達や知り合いなどの間柄でのSNS
- ブログやSNSなどの投稿につけるコメントの類
- 自分のブログ、SNSでのくだけた投稿
フォーマルな場なら「。」を普通に使う、カジュアルな場なら「。」は控えめに、となります。
もちろん上記は簡略化した場合分けですし、 相手にもよりますので、 カジュアルな場でも相手が「。」を使うタイプなら、こちらも「。」を使うなど、 ある程度、その場の判断も必要になってはくるでしょう。
「。」の代わりに改行を使う
文末に「。」を打たないとなると、 じゃあ文末には何を打てばいいのか?という問題があります。 これについては、 下記のようなものがあるでしょう。
- 絵文字・顔文字
- 記号(感嘆符など)
- 改行
絵文字とか顔文字は、少量使う分にはよいと思います。 ただ、これをすべての文末に打つとウザい感じになりますし、 そもそも面倒くさいという問題があります。
記号の場合はどうかというと、 「!」「?」とかは、 文脈に合っているならよいと思います。 ただ、すべてにつけるわけにはいかないので限定的な使用にとどまるでしょう。 あとは「~」など便利ですが、多用すると不自然になってしまいます。
一番無難なのは改行でしょう。 「。」を打つタイミングで改行。 これなら、「。」を使わなくても一文の切れ目がわかります。
「。」を使わないと抜けた感じになる?
カジュアルな場なら「。」を控えるとして、 「。」を打たずに長い文章を書くと、 どうにも締まりの無い「抜けた感じ」の文章になるという問題があります。
それは確かにその通りで、「。」を打ちたくなりますよね。
ただ、それはそもそも「カジュアルな場でダラダラと長く書きすぎ」かもしれません。
カジュアルな場でのあまりに長い文章は、それ自体に違和感があり、 若者でなくても敬遠される可能性があります。 長い文章を書きたければ、フォーマルな場で書くべきでしょう。
カジュアルな場では、「。」を打たなくても自然に読めるくらいの長さに とどめたほうが自然なやりとりになるでしょう。
むしろカジュアルの場では、「多少抜けた感じ」のほうがしっくりくるとも言えます。
「、」(てん)は使ってよいのか?
マルハラ問題では「句読点」そのものがやり玉に挙がっていることがありますが、 同じ句読点と言っても「。」と「、」は区別するべきでしょう。
マルハラの観点で見ても、「、」(てん)は使ってよいと思います。 「マルハラ」とは言いますが、「テンハラ」とは言いませんからね(笑)。 「、」に威圧感とか冷たさを感じる人は、若者でもいないのではないでしょうか。
というか、「、」を打たずにダラダラ文章を書いたら、読みづらい文章が出来上がるだけです。 文意を明確にするために、適度に「、」は使ったほうがよいかと思います。
ただ、打ちすぎはNGです。 むやみやたらと「、」が打たれた文章は逆に読みづらくなって本末転倒ですし、 「おじさん構文」と呼ばれてこれまた敬遠の対象ともなります。
まとめ
- マルハラ問題の本質はフォーマルとカジュアルのミスマッチ
- 場のフォーマルとカジュアルを適切に認識し、言葉遣いを使い分けよう
- カジュアルな場では「。」の代わりにとりあえず改行を使おう
以上、マルハラ問題についての考察と対処法でした。
みなさまの円滑なコミュニケーションの一助になりましたら幸いです🤗