築年と土地値で物件を見る

はじめに

不動産には様々なタイプのものがありますが、 皆様はその良し悪しをどう判断していますでしょうか?

利回りなど様々な指標がありますが、 ハズレを掴まないために考えておくべき指標として、 築年と、土地値というものがあります。 これらをどのように判断に使えばいいかを解説します。

土地値はどのくらいあればよいのか? 築年はどう絡む?

収益不動産において(実需の不動産もそうですが)、 物件価格に対して、土地値(実勢価格)の割合がどのくらいあるか、 というのは、 良し悪しを判断する際の一つの基準になります。

しかし、単純に土地値が高ければいいかというとそうでもなく、 現実的には築年とのバランスで見ていくことになります。

土地値は実勢価格で判断しますので、 推定するときはとりあえず相続税路線価(相場の8掛け)に1.25を掛けた値でみればよいでしょう。

仮に「5000万円の収益物件」があったとして、 「築浅か築古か」「土地値の割合が高いか低いか」 という2軸で場合分けをすると以下のようになります。

  1. 築浅で土地値(実勢価格)の割合が高い場合
  2. 築浅で土地値(実勢価格)の割合が低い場合
  3. 築古で土地値(実勢価格)の割合が高い場合
  4. 築古で土地値(実勢価格)の割合が低い場合

この4パターンを例に使い、解説していきます。

物件価格については比較しやすくするために5000万で統一していますが、 絶対値より比率の部分に注目してお読みください。

融資期間は一般的には築年に影響される項目ですが、 ここでは比較条件を揃えるために30年で統一しています。

また寿命は、収益耐用年数で考えます。

例1) 築浅で土地値(実勢価格)の割合が高い場合

土地4000万、建物1000万、寿命25年のケース。

場合分け上、作成しましたが、 これはあまり見かけないパターンかもしれません。 かなり土地の高い場所での築浅アパートなどで考えられます。

この場合は、寿命が来た時点で残債は土地値以下となりますので、 売却時プラス(赤丸の部分)になるでしょう。

しかし、土地が高いと収益性が下がりますので、 そもそも資産家でないと回らないでしょう。

例2) 築浅で土地値(実勢価格)の割合が低い場合

土地1000万、建物4000万、寿命25年のケース。

築浅のアパートなどでよくあるパターンです。 新築だったらもう少し長くてもいいかもしれません。

この場合は、寿命が来た時点で、残債が土地値前後となりますので、 売却時トントン(赤丸の部分)となるでしょう。

要は、最初に土地値の割合が低くても、時間が解決していくということです。

ただ、建物が割高でないかには注意が必要です。

例3) 築古で土地値(実勢価格)の割合が高い場合

土地4000万、建物1000万、寿命10年のケース。

いわゆる「土地値アパート」のような物件です。

この場合は、寿命が来た時点で残債が土地値を下回っていれば、 売却時少しプラス(赤丸の部分)になるでしょう。

積年利回り で見たときに200%に届かないような築古物件でも、 土地値が高ければ検討に値します。

ただ、立ち退き料や解体費などの費用はかかってきますので、 そのへんは注意が必要です。

例4) 築古で土地値(実勢価格)の割合が低い場合【要注意】

土地1000万、建物4000万、寿命10年のケース。

注意が必要なのがこのパターンです。

この場合は、寿命が来た時点で残債が土地値を上回るため、 売却時マイナス(赤丸の部分)になるでしょう。

築古の物件に長い融資を組んでしまうと、 残債がたくさん残っている段階で建物が朽ちてしまいます。 すると土地として売ることになるわけですが、 土地値が低いと、残債との差額がショートすることになります。 つまり出口で大損するということです。

言い換えると、築古で建物にあまり価値がないのに、 ボッタクリの価格設定になっている割高な物件ということになります。 築古なのにそこそこの利回りしかないようなものが多いです。

ここ何年かがそうでしたが、 特に融資が緩い時期はこの手の物件を掴んでしまうリスクが高まるので、 注意しましょう。

まとめ

  • 築浅物件では寿命が長いため、土地値が低くても長期間の収益でカバーできる
  • 築浅物件で土地値が高い場合は、資産価値はあるが、収益性に難ありの可能性あり
  • 築古物件は寿命が短いため、土地値が低いと出口で大損する可能性がある
  • 築古物件ではなるべく土地値が高いものを選ぶ

おわりに

いかがでしたでしょうか。

第一段階は積年利回りで見て、 積年利回りをクリアできない場合は土地値を見る、 という流れがいいかなと個人的には思います。

なお、ここで見ているのは物件そのものの収益や価値の話なので、 投資家に入るキャッシュフローを測るのはまた別の話です。

皆様の物件選びにお役立て頂ければ幸いです。

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